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網点とは? たった4色でフルカラーになるワケ

ジジハナ

わたしたちが目にする印刷物のほとんどは、CMYK(シアン/マゼンタ/イエロー/キープレート〈ブラック〉)の4色で印刷されています。

このうちシアン、マゼンタ、イエローは、混ぜ合わせることであらゆる色が表現可能な「色の三原色」にあたるため、理屈の上では3色だけでも印刷できるはずなのですが、インクの性質上うまく表現できない色があったり、乾かすのに時間がかかったりすることから、実際の印刷ではブラックを加えた4色で印刷されています。

……と、これだけでもなんとなく納得してしまいそうですが、実際の印刷ではもうひとつクリアしなければいけないことがあります。

それは「薄い色をどう表現するか」という問題です。

たとえば絵の具なら、白を混ぜたり水で薄めたりして必要な色を作りますよね?
しかし、一般的な印刷で白インクは使いませんし、無数の色をいちいち作りながら印刷すること自体が現実的ではありません。
では、一体どうやって薄い色を表現しているのでしょうか?

濃淡を表現する「網点」

印刷における濃淡の表現方法。
その答えはコレです。

私たちが目にする印刷物のほとんどは、このように「網点」と呼ばれる無数の点によって構成されています。
濃い色は大きな点、薄い色は小さな点として印刷することで色の濃淡(階調)を表現しているわけです。
下の画像をご覧ください。

左側はK=80、右側はK=20のデータを網点化し、同倍率で拡大したものです。
点の大きさ(密度)こそ違いますが、どちらも同じ色でできていることがわかります。
つまり、わたしたちが目視で把握している色の違いは目の錯覚によるもので、正確には網点の密度によって濃く見えたり薄く見えたりしているだけなのです。

この網点。肉眼で確認するのは非常に難しいのですが、新聞などは比較的わかりやすいので、気になる方は実際に確認してみてください。

ちなみに、網点は印刷機ではなく、製版過程で使用されるRIPという機械(ソフト)が作っています。
網の作り方はメーカーによって異なるため、RIPによっては印刷結果が変わってしまうことも……。
そのため、弊社ではあらかじめ二種類のRIPを用意し、データにあわせて最適な結果が得られるよう運用しています。

●網点の種類
網点(スクリーニング)には形状の違うものが何種類かありますが、点の大きさ(点の密度)で濃淡を表現する仕組み自体はいずれも変わりません。
それぞれ得意とする表現が異なるため、用紙や用途によって使い分けられています。

力強い印象のスクエアドット・ラウンドドットは機械や金属の表現に、
ドットがなめらかでトーンジャンプしにくいチェーンドットは肌もの等の表現に、
高精細でモアレ(ドット同士が干渉することで起こる印刷不良)が起きにくいFMスクリーンは美術品や生地の表現等に向いているといった特徴があります。

一般の印刷物はスクエアドットが多く、弊社でも特別な指示がなければスクエアドットで出力しています。

●網点の角度
網点は色ごとに異なる角度で配置されます。
これは「モアレ」「ロゼッタパターン」といった、意図しない模様が浮かび上がってしまうことを防ぐためです。角度の振り方は印刷会社によって違いますが、弊社ではC15°/M45°/Y0°/K75°をデフォルトの設定にしています。

線数について

さて、先ほど印刷物が点でできていることを示す例として新聞を挙げました。
他の多くの印刷物も同じように網点を利用しているのですが、新聞のように肉眼でわかるものはほとんどありません。
これは新聞が他の印刷物に比べて低い「線数」で刷られているためです。

線数とは「1インチあたりに配置される網点の数」を示すもので、lpi(line per inch)という単位で表されます。
線数が低ければ荒く網点の目立つ仕上がりに、高くなるほど網点の目立たない高精細な仕上がりになります。


ただ、あまりに線数が高いと網点が滲んだり潰れたりしてしまうため、線数が高ければ必ずきれいに仕上がるわけでもありません。
実際の印刷では用紙や用途にあわせて線数を使いわけています。
一般的なカラー印刷は175線がほとんどですが、新聞の場合は80線程度と、かなり低い線数で印刷されています。
新聞の網点が肉眼で確認できるのは、この線数が極端に低いからなんですね。

まとめ

今回は、身のまわりの印刷物が「点」でできているというお話でした。
肉眼ではほとんどわからない世界なので、初めて知ったという方も多かったのではないでしょうか。
どんなにカラフルでなめらかに見えても、近づけばどれも4色の点でしかないというのは、なんだか不思議な気もしますね。

ちなみに、ルーぺで網点を見たい! と思った場合、なんとなく点でできているのがわかればいいという程度なら10倍、網点の形までしっかり確認したいなら最低でも25倍程度の倍率が必要になります。
安いものなら二千円ほどで手に入るので、興味のある方は買ってみてはいかがでしょうか。

まあ、日常生活の役に立つかと聞かれると微妙なところではありますが……。