イラレだけで簡単! 3Dロゴ(文字)を作ってみよう!
たとえばゲームタイトルのロゴのデザインを頼まれたとします。
先方のリクエストとして「楽しげなキャラクターとマッチした、POPでカラフルでスペーシーで、ファミリー向けだけど、かっこいい3Dっぽいロゴを!」なんて無茶なトスが上がったとしましょう。
Blenderかなにかでキッチリ3Dのロゴを作るとしたら、ウン十万とかの金額が欲しいところだけど、そんな予算もないですと。そもそもBlenderなんて使ったこともありませんと(なんだよお前)。
泣くな! 泣かないでくれ。
そんなときでも、ぼくらのイラレは期待に応えてくれるのです。
例えばこんな感じに。
バージョンはCC(2020)ですが、ある程度までの下位バージョンでもこの機能はあります。(もともとはadobe Dimensionという独立したソフトがあり、それがイラレの一機能として吸収され、Dimension自体はパッケージに特化したアプリとして生まれ変わりました)
それでは順を追って制作していきましょう。
ベースのロゴタイプ作り
まずはメインロゴをタイプします。
フォントは3D時のエッジを考慮して、太めのものを選びましょう(作例ではImpactを選んでいます)。
文字間も、広がる部分を考慮して、こんな感じで空けておきます(トラッキング=100em)。
選択した状態で「書式」→「アウトラインを作成」でアウトライン化します。
さらに「オブジェクト」→「パス」→「パスのオフセット…」を選択します。
するとこんなダイアログがでます。
フォントにもよりますが、ここではそれぞれの文字が多少重なるくらいにしましょう。(作例では4mm)
角の形状は「ラウンド」にすると3Dのレンダリング感が際立ちます。
内側/外側のオブジェクトにそれぞれこんな感じに色をつけます。
制作しやすいように別レイヤーにしたいので、レイヤーパレットのサブメニューから「新規レイヤー」を選択し、ブルーのロゴをレイヤー2にペーストします。
ブルーのロゴのレイヤーを一次的に不可視にして(レイヤーパネルの目のアイコンをクリック)、イエローロゴのみ全選択し、パスファインダーパネルの「合体」をクリックします。
ここで赤の四角で囲った部分のような、ゴミのような隙間はダイレクト選択ツールで削除しておきます。
するとこんな感じ。
無駄な隙間のないフラットなオブジェクトになります。
つぎはいよいよ3Dの設定です。
3Dの設定〜前面のブルーのロゴ
こんどはイエローのロゴのレイヤーを一次的に不可視にして、ブルーロゴだけにします。
ブルーロゴ全体を選択し、グループ化しておきます。
その上で「効果」→「3D」→「押し出し・ベベル…」を選択します。
まずはこんな画面になると思います。
ここで「お、こんな感じでいいじゃん!」などと思わないでください。「とりあえず立体にしてみました」というイメージでは、お客様に納得してもらうことはできません。デザインイメージはアプリの機能に制限されてはいけないのです。
「位置」を「自由回転」の「前面」にしてください。
一番上の水平軸の回転を「15°」くらいにしてみましょう。
この数値は後でイエローロゴでも使うので統一するようにします。この時点では遠近感は0°でオーケー。
押し出しの奥行きはとりあえず50pt。フタはONですね。
ベベルは表面の形状になります。
ここではツルリとした仕上がりにしたいので、「角の丸い平面」を選びます。
左下のプレビューにチェックをいれて仕上がりを確認します。
尖っているところがありますね。ここは後で直します。
押し出しの奥行きが高すぎたので、20ptとします。
ベベルの高さは、より自然な3D感を出したいので3ptにして、OKをクリック。
さきほどの尖っている箇所を直します。
該当するアンカーポイントをダイレクト選択ツールで選択し、図のようにコーナーの設定をします。
他の尖っている「B」と「R」アンカーポイントも同様に設定して、自然な仕上がりになるよう調整しましょう。
光源の設定
ここからはさらに細かい仕上がりの調整になります。
立体になったロゴの陰影が濃すぎるので、もうすこし明るく見やすくするために、アピアランスパネルの3D 押し出し・ベベルをクリックします。
下段の詳細オプションをクリックするとライティングの設定ができます。
ここの環境光を70%ぐらいにすると影の濃さが和らぎます。
メインのロゴなので微妙なシャドウの落とし方によって全体が際立つようバランスをとります。
また、光源の位置もアイコンをドラッグしてプレビューを見ながら、クッキリと立体感が出る位置に調整しましょう。
OKをクリックします。
今度はイエローロゴのレイヤーを可視化し、同様に設定します。
3Dの設定〜背面のイエローのロゴ
イエローロゴを選択し、
「効果」→「3D」→「押し出し・ベベル…」
その他、ブルーと同様に「自由回転」の「前面」、水平軸の回転を「15°」に設定。
ベベルの高さはプレビューを見ながら、黄色の光沢が映えるように4ptにしておきます。
ブルーのロゴと上下の位置がずれているのはあとで調整します。(同じ座標から押し出すのでズレる仕様です)
あとでパース(遠近)をつけていくので、押し出しの奥行きを100ptにします。
ここを高くするとぐぐっと奥行きが出せます。
環境光はブルーと同様に70%。OKをクリックします。
イエローのロゴを選択し、ブルーロゴと合うように下げ、見た目で位置を調整します。
パース(遠近感)をつける
ここからはパース(遠近感)をつけていきます。
まずはイエローロゴを選択し、アピアランスパネルの3D 押し出し・ベベルをクリックします。
上段やや下の「遠近感」を50°くらいにしてみます。
プレビューすると、パースがつきましたね。
もう少しダイナミックに奥行きを出したいので、
「遠近感」を100°にしてみました。
あまり強くつけるとダサくなるので、上手くバランスを見て数値を設定しましょう。
同様の手順でブルーのロゴにもパースをつけます。
さて、ここでまたおかしいところが出てきました。
Z軸(奥行き)に向かう面で黄色の面が抜けているところが出てしまっています。
これはイラレのバグですかね。きついパースを付けると抜けてしまうようです。
ブルーロゴに同様のパースを付けても、こちらもあちこち抜けています。
こんな感じです。ひどいですね。ハリボテCGであることがバレてしまいます。
手動で修正していきましょう。
環境設定のキー入力を0.1mmにしておきます。
該当するアンカーポイントを選択して、上下左右いずれかに試しに動かしてみてください。
直りました。この手法でアナログ的にそれぞれ、抜けがなくなるように修正していきます。
こんな感じでメインのロゴは仕上がりました。
ちなみに色を変えることもできます。
こんな感じで、変えた色で陰影や光沢にも反映されます。
元になるベクターを編集できるので、形や色の微調整が可能です。
(確定させる場合は、「オブジェクト→アピアランスの分割」を実行します)
仕上げ〜完成
これに、付随する文言も適宜追加します。
そしてフィニッシュ。
サイバー感のある背景素材をチョイスして背面に配置すれば、完成。
ベベルの高さの度合いや環境光の設定は、何度かやってみないとわからないと思いますが、デザインワークの最終セクションですので、納得のいくまで調整してみてください。
よりクオリティの高いロゴデザインは、いかにユーザー目線で自然な美しさに仕上げられるかにもかかってきます。
イラレでできるのはここまで。
上記のようにやや不完全な部分もある機能です。
さらに品質を求めるならば、これより先は3D沼になると思います。
押し出しの概念や光源の設定は、そのまま3Dソフトの基本的な仕組みにもつながっていくので、興味があれば本格的な3Dソフトにトライしてみるのもいいでしょう。
以上、イラレだけで簡単にできちゃう!3Dロゴの制作でした。