パソコン用の画像

BLOG

BLOG

運命の銀のエンゼル



チョコボールの「銀のエンゼル」を、
なにげなく集め始めたら…というお話。


幼少時代〜エンゼルとの出会い



「金なら1枚、銀なら5枚、おもちゃの缶詰が当たる!」


物心がついた頃にはすでにテレビCMで流れていた、森永チョコボールのおもちゃの缶詰。

子供のうちは、チョコボールを買ってもらうこと自体がめったにないことだったため、金はおろか銀のエンゼルに出会うこともありませんでした。

当時はチョコボールに関してテレビCMしか情報源がなかったので、その15秒の刹那のなかで映し出された映像の断片が、子供のぼくの頭の中でイマジネーションの渦となってビッグバンを起こし、おもちゃの缶詰が、庶民の僕らでは手にすることはできない、異世界の財宝のように受け止めていました。

実は、大人になってから確か2回くらい、銀のエンゼルを引き当てています。
けれども、悲しいかな「子供の夢」というものが、大人にとっては無意味な現実であったりするもので、おそらくその場で友人と騒いだ末に、さっさと捨ててしまったんだと思います。

そして、十数年の時が流れました………。

ザ・ファースト・コンタクト


時代は平成から令和へ。

ユーチューバーの投稿を探していけば、「おもちゃの缶詰」の開封シーンはザクザク出てきます。
ヒカキンさんも、100箱大人買いして5枚の「銀のエンゼル」を当ててました。
ツイッターではチョコボール開封おじさん(@chocoballGT)が、1409個目に、ついに「金のエンゼル」を出したことで話題になった時期もありました。

2019年4月、事務所を4階に移す前、ひとつめの「銀のエンゼル」に出会いました。


「お?!」

とは思ったものの、前述のように、はじめて見たわけではないですし、とりあえず、事務所の整理整頓をするなかで引き出しの奥に放置され、銀のエンゼルを出したことは、記憶の彼方に消えていきました。

新しい旅の始まり


そして、秋。

金木犀の甘く爽やかな香りが漂いはじめる頃、忘れかけていた記憶の扉を叩く音が聞こえてきました。

2つ目の「銀のエンゼル」の出現です。



ちなみにそのときの僕の表情がこちら。


ここから本当の物語がスタートしたと言えなくもありません。
ここで初めて「5枚集めてみたい!」という意志というか、意地みたいなものが芽生えたのです。


さらに、11月初旬。

3つ目の「銀のエンゼル」をGET。



大きく、大きく、追い風が吹いて来ているのを、僕は感じていました。

焦りと妄想でダークサイドへ堕ちる


3枚の「銀のエンゼル」。

「金なら1枚、銀なら5枚、おもちゃの缶詰が当たる!」
五分の三までは来ているんです。
「カトリくん、クサナギくん、ゴロウちゃん」までは、ここに集まっている…。


決して遠くない未来に、夢が実現するのではないか、野球で言ったら8回の裏、2点リードくらいは来ているのではないか。

そんな思いで過ごす日々のなかで、気持ちが焦り始めます。

「1梱包の最前列で銀が出る確率が高い…?」

そんな妄想を抱いて「最前列」を買い始め、2回、3回と空振るうちに、狂気にも似た鈍色(にびいろ)の感覚に囚われていく自分。

「なんなら金でもいいんだぞ?」
「お店のおばさん、最前列入れ替えてないか?」
「おれと同じ法則に気づいた奴がいる!」
「教えてくれキョロちゃん、君は淑女なのか、悪女なのか」

銀のエンゼルが、出ない。
銀のエンゼルが、出ない。
銀のエンゼルが、出ない………。


空しさを通り越して、憔悴していく心と身体。
店に足を運ぶ回数も増えてきて、売り場のおばさんも心配そうに僕の顔をのぞき込んできます。

だめだ、これでは精神が崩壊してしまう。
もはやゾンビ化した自分を止めるためには、道はひとつしかありません。

令和元年、年末。

僕は、チョコボールを買うのを、やめました。




偶然の再会


2月の中頃。

毎月、定期もののお仕事の納期が近いときは、夕方、夜食がわりにお菓子を食べたりします。

今日はなにを食べようかなとフラリといつものお店にいくと、ふと視線を流した先の棚に、チョコボールが並んでいます。

まるで昔の彼女に偶然出会ってしまったかのような、セピア調の空気が辺りに立ち込めるのを感じました。

懐かしさもありましたが、それよりももっと自然な、朝起きて歯磨きをするような感覚で、気づいたときにはチョコボールを2箱、買っていました。

すると、


「…………………!!!」




「神様は私たちに、成功してほしいなんて思っていません。ただ、挑戦することを望んでいるだけよ。」
─ マザー・テレサ


旅の終わり


ついに、4人目のエンゼルに出会えました。

それがナカイくんなのかキムラくんなのかは分かりません。
とにかく、ついにリーチ。
あとひとり、というところまで来ました。


きっと近い将来、5人目のエンゼルに出会えることでしょう。

ハガキに貼って送れば、おもちゃの缶詰が届くことでしょう。

でもそれは、あくまでもオマケ、番外編です。

あだち充先生の「タッチ」の最終回みたいなものです。




長い旅が今、終ったのです。





次回、「運命の銀のエンゼル〜おもちゃの缶詰開封編〜」をお楽しみに。

ありがとうございました。