戦国大河ドラマ ベスト5〈後編〉
さて、前回に引き続きまして、社内の歴史好きで、大学の先輩後輩にあたるPuppyとucchiiiの対談でお送りする、「NHK戦国大河ドラマ ベスト5」。
いよいよ後編となります。
果たして、第一位の作品とは?!
第3位から第1位まで、一気にご紹介していきましょう。
ucchiii選出 第3位
ucchiii
主人公は、後に井伊直政を育てていくことになる遠州井伊谷の女領主・井伊直虎。幼少時代を魅力的な3人の子役達がつとめて絆を描き、柴咲コウさんに繋ぎました。脚本は「世界の中心で、愛をさけぶ」「JIN-仁-」の森下佳子さん。
Puppy
小領の井伊谷領主が女性??っていうのもあって、全く基礎知識がないままドラマを見始めたんだよね。地味目なスタートだったんだけど、徐々に登場人物、イベントも増えてきて、領土を守るため悩み苦しむ主人公と支える者たち、そして男女間の友情や信頼がとても心地よい人間ドラマに仕上がってて、見応えがあったよなあ。
ucchiii
そうですよね。人間ドラマが素晴らしかったですよね。
群雄割拠の戦国時代に、井伊家存亡をかけて立ち回る直虎と、それを支える家臣団。井伊直親を三浦春馬さん、小野但馬守政次を高橋一生さん、龍雲丸を柳楽優弥さん、そして井伊直政を菅田将暉さんという、個性溢れる俳優さん達が演じ、直虎と出会い、気持ちを分かち合い、そして去って行く。たとえば、但馬守政次の機転が井伊家を救うことになるけれど…という衝撃的な展開など、これまでの戦国大河では描かれなかったエピソードをクローズアップして描写していくのが特徴的でした。
Puppy
この年に、直虎の“花押“が入った唯一の書状が出展されると聞いて、江戸東京博物館「戦国!井伊直虎から直政へ/NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎 特別展」にまで行ったんだよ。井伊家に代々受け継がれた貴重な武具・美術品・古文書が数多く展示されていて興味深い内容だったよ。
「そこまで言うならベスト5に入れろ!」って言われそうだけど。
ucchiii
脚本の森下さんの真骨頂である、ドラマチックで叙情感あふれる人間模様が鮮やかに描かれた作品でした。
Puppy選出 第3位
Puppy
秀吉は数多くの俳優が演じてるけど、百姓の子時代の日吉は竹中直人さんがどんぴしゃ。実弟、子一郎<のちの秀長>(高嶋政伸さん)とのハチャメチャなやり取りも最高!
なんと言っても渡哲也さんの信長。出だしはちょっと年齢的なギャップを感じたけど、秀吉・光秀に怒り狂う場面は鬼気迫り迫力満点!渡信長、これまでの信長役としては一番だったかも。
全体的には各登場人物は他の大河ドラマと比べてかなり個性が誇張され、史実とは異なる設定『石川五右衛門(赤井英和さん)が幼馴染・明智光秀(村上弘明さん)の放浪時代に日吉と会う』等々も、ドラマだから、エンターテインメントだからねっ!と納得しちゃうよね。
ucchiii
秀吉の正妻、おねが沢口靖子さん、淀君が松たか子さん、森蘭丸が松岡昌宏さん、とキャストも豪華でバラエティに富んでます。蜂須賀小六は代々プロレスラー枠ですね、大仁田厚さんが演じてます。
Puppy
ほかにも、玉置浩二さんの足利義昭も、みじめでだらしないキャラが上手で演技力に関心したよね。
最終回に関してはね、ちょっと疑問符もあってね。賛否両論なんだけど、秀吉の生涯を描くことの難しさを感じたよね。劇作として、どういう形で終わらせるかっていう。
でもでも、大河ならではの醍醐味をたっぷり味わえる名作だったと思うよ。
ucchiii選出 第2位
ucchiii
武田信玄の軍師として知られる山本勘助の生涯を描いた作品。
主演は内野聖陽さん。僕は同じ高校の同級生だったみたいです、お会いした感覚はないんですけど。
英雄的ではない、泥臭さと毒味を含んだ主人公。
軍師でありながら、最後は自らの失策により命を落とすという運命的、悲劇的な生き様、死に様が印象的でしたね。こと切れる寸前、そこに真田軍が駆けつけて…という微かな光明が射すようなラストが素晴らしかったです。
大河ドラマ初出演となる板垣信方役の千葉真一、武田信玄役に市川亀治郎、上杉謙信役にGacktというユニークなキャスティングも見応えあるストーリーを後押ししました。
Puppy
そうそう、千葉真一といえば柳生十兵衛なんだけど、板垣信方役、よかったねぇ! 鉢巻を血に染めて四方から槍に刺されて立ち往生。壮絶な討死シーンは今も鮮明に覚えていますよ。存在感バツグンでした。
あと山本勘助は謎が多い軍師で疎ましい変人のイメージが強かったけど、このドラマは情に厚く、信玄への忠誠心は素晴らしかったよね。
ucchiii
上田原の合戦では、他にも甘利虎泰(竜雷太さん)や駒井政武(高橋一生さん)の討死シーンもそれぞれ印象的で、その無念さを勘助が背負い、さらに続いていく甲斐武田の覇道を描いていく物語。
ほんとに、かっこいい男達の熱演が光る戦国大河でしたね。
Puppy選出 第2位
Puppy
この大河、一番驚いたのは初回第1話がいきなり関ヶ原戦いから始まり、2話から時代が遡るんだよね。合戦シーンはおそらく膨大な予算だと思うんだよね、「映画 関ヶ原」を観ているような感動があったんだよね。掴みはOK!の典型的見本だね。
円熟した俳優陣が大勢出演されて、その素晴らしい演技は絶賛に値しますよ。家康は大河常連の津川雅彦さん。たぬきで狡猾さ百点満点。秀忠と江夫婦は西田敏行さんと岩下志麻さん、妻の尻に敷かれ頭が上がらず、江は激しい気性で嫉妬深く、2人のやり取りがコミカルでとにかく楽しいんだよね。(アドリブ多発だったらしい)
ucchiii
真田幸村に西郷輝彦さん、石田三成に江守徹さん、春日局に樹木希林さん、まあとにかく実力派ばかりの豪華キャストですよね。徳川三代だから登場人物も多いですからね。
Puppy
変わっていたのはドラマ内で水戸光圀(中村梅雀さん)と“すけ・かく“の2人がMCになり現状の物語の解説付きだったところだよね。賛否両論あるけど、この時代は多くの登場人物、出来事、縁戚・領土関係も複雑だったので、情報が整理されて表現されるのが個人的には大歓迎だったね。
全体的に史実をかなり詳細に扱っていて、内容もとても濃く、歴史ファン・戦国ファンにとってはベストオブベストの大河ドラマに仕上がっていると思うな。
そして、いよいよ第一位。
なんと、2人とも同じ作品を推しておりました。
その作品とは…。
Puppy & ucchiii選出 第1位
ucchiii
三谷幸喜さん脚本作品。
主役、真田信繁に堺雅人さん。真田信之に大泉洋さん。真田昌幸に草刈正雄さん。ちなみに草刈政雄さんは、真田太平記(1985年/NHK総合テレビ 新大型時代劇)のときに幸村(信繁)をやってますね。
Puppy
私はなんたって真田ファン!第1回オンエアをどれだけ楽しみにしていたか!!
いろいろ評価は分かれるみたいだけどいいんじゃない、真田だから。全体には若干重厚感を抑えて、時代に合わせた大河ドラマだと思うね。
ucchiii
そうですね。2004年の「新選組!」終了時に「次に大河を書かせてもらえるなら真田を」っていう三谷さんの発言があって、それから待ちわびて待ちわびて、上田の真田記念館にも行って大河ドラマ実現の署名運動にも参加したんですよ。
Puppy
やはり若い年齢層も狙った感はあるけど、要所要所よくできて十分楽しめたよね。
父・昌幸のすっとぼけ感大爆発なキャラクター、兄・信之の堅物感満載ながらも微笑ましさ、その他にも家族の皆、個性が強く面白く描かれているね。
個人的には真田家臣の娘・きり(長澤まさみさん)がよかった。信繁と幼馴染みで彼の行く所行く所に同行し2人の掛け合いが楽しく演技も素晴らしかった。
ucchiii
この頃(2016年)になると、新たな歴史的資料が結構見つかっているのもあって、それぞれの合戦が数の理論でなく、どうして一方が勝ち、一方が負けたのかをしっかり描いていたと思います。
関ヶ原では局地戦で勝っていながら、敗戦の将となり九度山へ流罪。そこから名前を変えて、クライマックスの大阪夏の陣でもう一度歴史の表舞台に華々しく躍り出る疾走感が最高でしたね。
Puppy
女性の登場人物もよかったね。ヒロインのきりちゃんをはじめ、祖母と母親の対照的性格。天然の姉。純粋で、悲劇的な妻。政略婚から次第に真田を支えていくことになる義姉。…いやぁ皆さんとっても素敵だった。
ucchiii
そして、主君やライバルとなる武将達の生き様もかっこよかったですしね。徳川家康に内野聖陽さん、徳川秀忠には星野源さんですよ。
あとは個人的には北条氏政役の高嶋政伸さんの怪演が光っていたと思いましたね。
Puppy
信繁(幸村)は家族を愛し、あちこちに人質に出され、妻を亡くしながらも懸命に生きてゆく姿がじっくりと描かれ、そして最後に亡き父の夢を心にいだき散ってゆく様は見事でした。
「1度の人生、大切に一生懸命生きてゆく」こんな当たり前のことが、なかなか難しく感じる今の時代、私には本当に心にしみるナンバー1の戦国大河ドラマでした。
というわけで、第一位は満場一致(?)で、「真田丸」となりました。
貴方の第一位はどの戦国大河でしたでしょうか。
そしていよいよ、再開が待たれる今年の「麒麟がくる」。果たしてどのような結末を迎えるのでしょうか。
これからも、NHK大河ドラマへの期待は高まるばかりです。
時節柄、撮影も大変ではあるとは思いますが、キャスト、スタッフの皆様が創り上げる、素晴らしい作品を期待しています。応援しております。
Puppy
第1位 真田丸(2016年)
第2位 葵 徳川三代(2000年)
第3位 秀吉(1996年)
第4位 武田信玄(1988年)
第5位 独眼竜正宗(1987年)
ucchiii
第1位 真田丸(2016年)
第2位 風林火山(2007年)
第3位 おんな城主直虎(2017年)
第4位 黄金の日々(1978年)
第5位 功名が辻(2006年)